| 海外の文献からの４つ目は、これも有名なフライキャスター、ジム・グリーンによる記事です。 この記事は「ロッドを急停止することの重要性」を気づかせてくれる解説文です。ループやストローク、テンポといったよく目立つポイントを陽とするならば、ついつい忘れがちになる「ロッドの急停止」は陰であり、実はフライキャスティングにおける最も重要且つ難しい動作なのかも知れません。 この記事につきましても念のために書いておきます。あくまでもプライベートな目的で翻訳したものです。営利目的でここから転載することは絶対にしないでください。ちなみにオリジナルの記事は http://home.att.net/~slowsnap/tips3x1.htm のページの「41. THE POSITIVE STOP」にあります。 さて翻訳に当たって、ポジティブ・ストップという英語をどんな日本語に訳そうかと少し悩んだのですが、ポジティブ（positive）という単語を辞書で調べたところ「積極的な」という訳語が見つかりましたので、「積極的にロッドを停止すること＝積極的なロッドの停止」という訳を当てはめることにしました。ロッドを振った直後に急停止することで、初めてロッドの反発力を引き出せるのだということは、すでにあちこちに書かれていたと思いますが、この記事では「停止すること」にのみ焦点を絞って解説しています。 ではじっくりとお読み下さい。そして次のキャスティング練習の時には、ぜひ「ロッドを急停止する」ことに注意してみて下さい。 |
| 著者 | ジム・グリーン |
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ジム・グリーンは、フライフィッシングの産業において、創造的なロッドの設計者であり発明者として、良く知られた人です。彼と、セージの創設者であるドン・グリーンは、1950年代の初頭以来ずっと、ロッドの設計やロッドに使う材料の新局面を切り拓いてきました。彼は「Fly Casting from the Beginning（初級からのフライキャスティング）」という本の著者なのですが、1971年に出版されたこの本は、本当の意味で役に立つ判りやすい本なのです。ジム・グリーンはワシントン州アソーティンの住まいにおいて、今でもロッドの設計に関する実験と、グラファイト繊維のからできた織物でフライロッドのブランクを作ることを続けています。 ジムは次のように語っています。 フライキャスティングで用いられる様々な技術は、良い結果をもたらすために全て必要なのですが、最も重要なものは、私がポジティブストップ（積極的なロッドの停止）と読んでいる部分です。 積極的なロッドの停止がうまく行かないと、人は熟練のキャスターにはなれません。何かを動かした後で、その動きを急に止めるという動作は、私たちの日常生活ではそんなにしばしば行うものではありません。これまでにあなたの筋肉がこのような停止を経験したことが無いために、学ぶことを困難にしているのです。もし始めたばかりの人があっと言う間に「積極的な停止」を学ぶことができたなら、人にキャスティングを教えると言うことは簡単で楽しいものになるでしょう。 この停止を教えるために私が見つけた最良の方法は、ロッドにラインを通さずにフォルスキャストを行うような感じで、キャスティングストロークを繰り返すという動作を初心者に行わせることです。前腕から少し後方へ手首を曲げた状態でロッドを握り、肩から３インチくらい下のところに手をもってきます。前腕は上腕に対して約９０度になるようにします。これがフォルスキャストを行うときのバックキャストのスタート位置です。手首や肘の曲がりを変えてはいけません。肩の関節を回転させることによって、手と手首と前腕と上腕を一体にして持ち上げて下さい。丁度、あなたの目の横に来るまで、４５゜のキャスティングストロークの軌跡を経てロッドを持ち上げます。すると前腕は垂直な位置に来るでしょう。ロッドを持つ手が目のところまできた時に、肩、上腕、前腕、手首、そして手の筋肉に力を入れて動きを止めることで、積極的な停止を行います。全ての腕の動きを止めることで、ロッドのグリップ部が停止するでしょう。グリップ部のすぐ上にあって、最も硬いロッドのバット部が次に停止します。動きの停止は徐々にロッドの先端へと移動していきます。ロッドの中でも一番しなやかな部分である先端は、非常に早い速度で後方へと負荷を解放させられます。ラインがロッドに乗った状態にあったなら、狭いループが素早く解けていくことでしょう。ラインはいつもロッド先端の動きに追従します。先端部が早く動けば動くほど、ラインは同じように早く動くのです。 フライキャスティングを始めたばかりのかたは、ロッド先端部が後方へと力強く動かされるようになるまで、このバックキャストストロークを練習すべきなのです。この積極的な停止を必ず学ばなければなりません。 うまく停止できるようになって、想像上、ラインとリーダーがロッドティップによって解けていく（ロールする）ようになり、それらが後方でほぼ真っ直ぐに伸びたら、フォワードキャストを始めます。肩の関節を回転させて、腕全体を下向きに動かし、バックキャストストロークを始めたのと同じところまで戻して下さい。そしてもう一度、腕全体の筋肉に力を入れて動きを止め、ロッドのバット部のグリップのところを積極的に停止させます。 このとき、ロッドは力強く負荷を解放するでしょう。ロッドが動かされることでラインの重さがロッドを曲げ、動きを加速していくことでロッドは曲がるかあるいは更に負荷がかけられるという具合に、ロッドへの負荷というのはまさに自動的に行われるのです。 巧妙な部分というのはロッドの負荷を解放させることにあります。ロッドの負荷を解放して、狭いループが素早く解けていくということが、正しい「積極的な停止」なのです。 バックキャストとフォワードキャストの両方で良いロッドの停止ができるようになるまで、このような模擬的な動きの練習を繰り返して下さい。このような停止の動きは、いろいろな名前で呼ばれてきました。ロッド先端を弾くとか、パワースナップとか、ロッドをピシャリと打つとか、もっと沢山あると思います。呼び方はあなたのお好み次第ですが、フライキャスティングを行う人は、積極的なロッドの停止を行わなければなりません。それはフライキャスティングの秘訣なのです。 |